虎(トラ)という言葉を使ったことわざや故事は非常に多く存在します。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」や「虎の威を借る狐」などが最も有名なところでしょうか。その中で「虎の尾を踏む」ということわざを考えてみましょう。

トラは鈍感?

「虎の尾を踏む」とは、その言葉から簡単に連想できる通り「とても危険な行為」や「危険を冒す」という意味です。犬でさえ尻尾を踏まれると敏感に反応し、時には牙を剥いてくるのですから、獰猛なトラの尻尾などとても踏む勇気はありません。

多くの人はそう考えるでしょう。しかし実際にトラの尻尾を踏んだところで、トラのは意外にも反応を示さないどころか、尻尾を踏まれたことさえも気付かない可能性があります。というのも、トラはヒゲに神経が多く集まっており、その他の部位はわりと鈍感なのです。

「虎の尾を踏む」と同じ意味のことわざとして「虎の髭をひねる」というものがあります。確かにトラの尻尾を踏むことはとても勇気がいることですが、どちらかというと危険なのはヒゲを触ることなのです。