「は・か・た・の、塩!」のテレビCMでおなじみの伯方の塩ですが、実は国内で取れた塩ではありません。しかし製品の原産国は日本になっています。

今回の雑学では、伯方の塩の真相と、なぜ伯方の塩というネーミングなのかをご紹介します。

塩はメキシコ産

まずは結論からお話ししましょう。伯方の塩の塩は、メキシコやオーストラリアから輸入されています。

しかしそれを偽ってあたかも国産品のようにしているわけではありません。それを語るにはまず塩の歴史を紐解く必要があります。

塩の歴史

かつて塩は国による専売制のものでした。販売していたのは日本専売公社。今のタバコを販売しているJT(日本たばこ産業株式会社)の前身となる特殊法人です。無論タバコも専売公社の専売商品でした。

1995年に日本専売公社が解散。1997年には塩の専売制が廃止になり、2002年4月にようやく塩の販売は自由化されたのです。

伯方の塩の歴史

1971年の「塩業近代化臨時措置法」の成立で、塩田での製塩からイオン交換膜製塩法に切り替わりました。化学的に塩の製造がされるということです。

しかし消費者からは自然塩復活の要望が強く、国が輸入している天日塩田塩を原料にした製塩を認めました。それが「伯方の塩」です。

専売法により、日本の海水から直接製塩することが禁止されていました。そのため、日本国内で塩を製造するには専売公社が輸入した、メキシコやオーストラリアの天日塩田塩を使用するしか方法が無かったのです。

伯方の塩のが国産品である理由

伯方の塩はメキシコやオーストラリアで作られた塩を輸入し、日本でかん水(濃い塩水)に戻した後、再び塩に作り直しています。

農林水産省のガイドラインには「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国内の地域が原産地となります」とあることから、原産地は日本であるという事が言えるのです。

2002年以降のは塩の製造販売は自由化されましたが、安定した製品が安く製造可能なことなどの理由により、現在でも輸入塩を国内で加工する手法がとられています。

伯方の塩の名前に込められた願い

伯方は愛媛県にある瀬戸内海に浮かぶ島です。「伯方の塩」という商品名は、イオン交換膜製塩法で化学的に塩が作られ始めた時代に、「伯方島の塩田を復活させたい」という願いが込められているのです。