漫画の文字(フォント)にはちょっとした工夫がされている
印刷物やインターネット上のデジタルコンテンツなど、活字には読みやすさが求められます。
今回の雑学では、そんな活字の中でも漫画における文字に施されている一つの工夫をご紹介します。
日本語におけるフォント
アルファベットは26文字しかないため、文字の種類(フォント)も膨大な数が存在します。それに反して日本語はひらがなとカタカナに加えて漢字があり、その文字の種類数は5万種類とも言われています。
日本政府が日常的に使用する漢字を「常用漢字」としてまとめていますが、常用漢字だけでも2015年5月現在で2136字もあります。
フォントは基本的にコンピューター上で一つ一つデザインされ、イラストと同じような作業工程が必要になります。アルファベット26文字に対して、常用漢字のみでも2000文字以上を作成しないといけないため、日本語のフォントの種類が多くない理由がここにあるのです。
漫画におけるフォントの重要性
漫画だけに言えることではありませんが、タイトルや見出しなど以外のいわゆる読ませるための「文章」としての活字には、読み手にとって読みやすいことが何より重要視されます。漢字などを多用する面から、文字が潰れてしまったり文字の線が省略されていたりすると美しくありません。
そんな中で漫画には読者にとって読みやすい用にフォントの種類をわけて印刷されています。
どういうことかと言うと、かなには「アンチック体」、漢字は「ゴシック体」が使われているのです。これらの組み合わせを業界では「アンチゴチ」と呼び、アンチゴチで書かれた文字を見るだけで何となく漫画っぽい文字という印象を受けるほど、日本人の脳裏に焼き付けられているフォントです。
アンチゴチの組み合わせが初めて使われたのが1930年代といわれ、それを漫画という印刷物で使用され始めたのが1950年代になってからで、「週刊少年マガジン」や、松本零士の「銀河鉄道999」などがアンチゴチを使用していたとされます。
フォントの種類が分けられているのに気が付かなくて当然と言えるのかも知れません。気付いているとしたら、それは違和感を感じているようなものであり、そのフォントは読みづらさを与えているのでしょう。