芸術家は常人には理解できない突飛な考えを持つ人が多いですが、ドイツの作曲家であるカールハインツ・シュトックハウゼンもその一人。彼の作曲した『ヘリコプター弦楽四重奏曲』は、その名の通りヘリコプターを使用した楽曲です。

ヘリコプターが楽器扱い

この『ヘリコプター弦楽四重奏曲』は、彼が製作したオペラ『光』の中の「水曜日」の第3場面の曲として1993年に作曲されました。

この曲を演奏するためには、4人の弦楽奏者と4機のヘリコプターが必要になります。

ヴァイオリンを演奏するヴァイオリニストが2名、ヴィオラを演奏するヴィオリストが1名、チェロを演奏するチェリストが1名の構成で、これに加えてヘリコプターの操縦士4名を含めた、最低8人のメンバーが必要になります。

それぞれのヘリコプターに演奏者が1名ずつ乗り込み、旋回するヘリコプターの中で曲を演奏し、その迫力ある映像と音楽を地上へと中継するのです。

なぜこのような奇抜な発想が生まれたのかというと、作曲者であるカールハインツ・シュトックハウゼンが、睡眠時にこれと同様の夢を見たからで、その夢の内容を現実に再現してしまったのです。