将棋の歩の裏面は「と」ではない
囲碁と並び、将棋は古くから愛されるボードゲームです。盤上の駒を敵陣に攻め込ませる様は、まるで名将になったかのような気持ちにさえなります。将棋には「成る」というルールがあります。
ひらがなの「と」ではない
将棋の盤面は9×9の81マスで構成されています。手前の3列が自陣であり、奥の3列が敵陣になります。自陣の駒が敵陣に到達することで、より強力な性能へと変化することができます。これが「成る」です。成った駒は裏返しにされます。
駒の裏面には表面とは違った漢字が書かれています。例えば前後左右を縦横無尽に移動することのできる「飛車」は、成ることで斜め前後にも1マス移動することが出来るようになり、裏面の漢字は「龍王」といういかにも強そうな文字が書かれています。
そして、最も数が多く、性能が低い駒として「歩」があります。歩は1マスずつ前に進むしか出来ない駒ですが、成ることで「金」と同じ性能である斜め後ろ以外の1マスに移動することが出来るようになります。しかし裏面に書かれている文字はなんとも弱そうな「と」という文字です。この事から、歩が成った状態のことを「と金」とも言います。
しかし実は裏面に書かれた「と」はひらがなではなく、漢字の「今」の草書体なのです。「今」と「金」はどちらも「こん」と読めることから、昔は「金」の代わりとして「今」と書いていたことの名残なのです。