卒業式の日、憧れの先輩や恋心を抱いているあの人の制服第2ボタンを狙う人も多かったのではないでしょうか。この風習は一体どのようにして誕生したのでしょうか。

憧れの第2ボタン

制服の第2ボタンを貰う風習なんて古い、とお思いかも知れませんが、近年の調査でもまだ第2ボタンを貰う風習は根強く残っているそうです。

そもそもこの場合の制服とは詰め襟の学生服のこと。つまり学ランです。学ランの起源は軍服にあります。第2ボタンを貰うという風習も、元は日本軍の軍服の第2ボタンを指しているのです。

そのきっかけを作ったのが、1960年に公開された映画『紺碧の空遠く』のワンシーンです。戦時中を描いたこの映画の主人公は、特攻隊として出撃することになります。特攻隊は、戦闘機に乗って敵艦などに直接体当たりをする部隊のことで、パイロットが脱出するタイミングはないことから、確実に命を落とすことになります。

映画では特攻隊に任命された主人公が、恋する子に何かを渡しておきたいということで、軍服の第2ボタンを渡すという感動的なシーンがあり、これに影響を受けて世間的に広まりました。なぜ数あるうちの第2ボタンなのかというと、軍服は天皇から授与されるものであり、それをだらしなく着てはならないとされており、第1ボタンを取ってしまってはどうしてもだらしなくなってしまうからとのことです。