ジョギングの神様と称されたアメリカのジム・フィックスという人物がいます。彼は1977年に世界的なベストセラーとなった『奇跡のランニング』の著者であり、それまで「競技」でしかなかったランニングを「健康」という意識に変換させることに成功しました。

ジョギングブームの到来と衰退

フィックスは体重100kgの巨漢でしたが、30代半ばから毎日15kmのジョギングを行い、30kg以上の減量に成功しました。自身の体験からジョギングを続ける健康法を記したのが、前述した『奇跡のランニング』であり、全米を中心に世界規模のジョギング健康法ブームを生み出しました。しかしこの健康法ブームも1980年代前半に終焉を迎えてしまいます。

その理由はなんと、1984年7月20日、52歳になったフィックスは、バーモント州の国道15号線脇でジョギング中に心筋梗塞を起こして突然死してしまったのです。

健康法ブームの火付け役となったフィックスの死によって世界中に衝撃が走り、ジョギング健康法ブームは一気に終息を迎えることになりました。そしてジョギングは、体調によっては心臓に負担をかけ、危険な場合があるということが判明し、それ以降は心臓への負担が少なく、より安全なウォーキングがジョギングに代わりにブームとなったのです。