日本語は非常にややこしいもので、ものを数える時に様々な呼び方があります。靴であれば「一足、二足」、お箸は「一膳、二膳」。このようにものを数える時に添える言葉を「助数詞」と呼びます。この言葉によって種類を分けているのです。生き物の場合、大抵は「匹」や「頭」を付けますが、ウサギはなぜか「羽」と数えます。この理由はなぜでしょうか。

ウサギに羽が生えている?

明治初期の文献にはウサギを「羽」と数えていた記録が残されています。なぜウサギだけ「羽」と数えるのかには諸説ありますが、その昔、仏教の教えから獣の肉を口にすることが出来ない僧侶が、ウサギの耳を鳥の羽に見立てることでウサギを鳥類とし、食すことを良しとしたという説が有力なようです。

似たような事例で、馬肉は「さくら」、イノシシ肉は「ボタン」、鹿肉は「もみじ」と呼ぶのも、徳川綱吉により政令された「生類憐れみの令」の法令から逃れるためとされます。生き物を殺してはならないとするこの法令の下で、なお肉を食べたかった猟師たちによって生み出された隠語だそうです。