散歩」を辞書で引いてみると「気晴らしや健康のために、ぶらぶら歩くこと」と出ます。「散策する」などという言葉もあるように、特に目的もなく歩くことをイメージします。しかし散歩の語源は、思いもよらないところにありました。

散歩の語源

古代中国では「五石散(ごせきさん)」という精神薬が流行しました。これは現代でいうところの麻薬などに値する薬です。五石散は鍾乳石、硫黄、白石英、柴石英、赤石脂という5種類の鉱物をすり潰して調合された薬物で、虚弱体質が改善されたり、不老不死の効果があるとも言われ、中国全土で広く流行しました。

五石散を服用すると体がポカポカと温まってきます。この作用を「散発」と呼びます。散発が起こらないと体内に毒が溜まり、中毒死すると言われ、散発を維持する為に絶えず歩き回る必要があり、これを「行散」と呼びました。この「散発を促すために歩く」という行為から、「散歩」という言葉が生まれたのです。