1968年、千葉ロッテマリーンズの前身である東京オリオンズは、不振だった戦績を打破すべく助っ人外国人を起用することになりました。獲得した選手は大リーグ・ヤンキースのスター選手で、1966年に引退したヘクター・ロペスという選手でした。

別人だった外国人

そして始まった春季キャンプ。そこに現れたのは左投左打のロペスでした。本来獲得したはずのヘクター・ロペスは右打右投の選手なはずです。そう、何らかの行き違いにより、同名のアルト・ロペスという選手が来てしまったのです。アルト・ロペスもヘクター・ロペス同様にヤンキースに所属していましたが、目立った成績もなく落ちこぼれていた選手だったのです。

しかしオリオンズの首脳陣は彼をすぐに帰国させることなく、ダメもとで起用してみることにしたのです。ところが蓋を開けてみると開幕戦でいきなり決勝タイムリー三塁打を放ち、オールスターゲームでは史上初となる初回先頭打者初球本塁打を記録するなど、数々の功績を残しました。1970年には彼の一躍もあり、チームをリーグ優勝へと導いています。

しかし1972年、監督の変更によりチームが一新されることになり、ロペスもトレード移籍を命じられます。その際にロペスは監督に直接、日本語で「ハートが冷たいよ」と言い放ったそうな。

確かに間違いとはいえ自分を受け入れてくれたチームから追放される心境を考えると、この一言にも納得です。