タラバガニは日本の周辺海域だけでなく、北極海や南米周辺の海域まで世界中で漁獲されるカニですが、実は生物学上はカニの仲間ではないのです。

今回の雑学では、タラバガニがなぜカニの仲間ではないか、なぜカニと呼ばれるのかをご紹介します。

カニはカニの仲間ではない

タラバガニの英名は「Red King Crab」で、まさにカニの中のカニといった印象を受けます。生物学上でカニと分類されるのは、一対のハサミになっている足の他に、四対の足(計8本)がないとカニとして分類されません。

しかしタラバガニは一対のハサミの足に、三対の足しかないため、ヤドカリの仲間として分類されているのです。

タラバガニには実はちゃんと四対目の足があるのですが、退化したために甲羅の下に隠れてしまっています。同じ仲間とされるヤドカリもまた、足が退化して貝殻の中に収まっているのです。

なぜタラバガニと呼ばれるのか

生物学上ではヤドカリの仲間であっても、見た目はカニそのものです。カニと呼ばれるのも見た目が理由でしょう。ではタラバとは一体何のことなのでしょうか。

タラバガニを漢字で表記すると「鱈場蟹」と書きます。鱈(たら)場とは、鱈が漁獲できる海域のことを指し、同じ海域でカニが水揚げされることから、「鱈場のカニ=タラバガニ」と命名されました。

タラバガニ以外でもヤドカリに属するカニ

実はヤドカリの仲間とされるカニは他にも沢山います。生物学的にタラバガニ科に属するカニをリストアップしてみました。

下目 名前
ヤドカリ下目
(異尾下目)
タラバガニ科 メンコガニ属 メンコガニ
イバラガニ属 イバラガニ
キタイバラガニ
ハリイバラガニ
イバラガニモドキ/ホクヨウイバラガニ
フサイバラガニ属 フサイバラガニ
タラバガニ属 タラバガニ
ハナサキガニ
アブラガニ
エゾイバラガニ属 エゾイバラガニ
ヒラアシエゾイバラガニ
ツブエゾイバラガニ
イガグリガニ
イガグリガニモドキ
エンセイエゾイバラガニ
コフキエゾイバラガニ
オダワラフサイバラガニ
イボエゾイバラガニ
ゴカクエゾイバラガニ/イボイバラガニ/コブイバラガニ
エリタラバガニ属 エリタラバガニ

実にこれだけの種類のカニが、ヤドカリの仲間であり、さらにはタラバガニの仲間となっています。