ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒には、天使に献上する分のお酒が用意されているとか。それを「天使の取り分(天使の分け前)」と呼びますが、具体的にどういうことなのでしょうか。

天使の取り分とは

蒸留酒は樽で熟成を行います。その期間は数ヶ月〜数年、長いものは数十年もの歳月をかけて熟成を行うことも珍しくはありません。樽は木製であり、液体が漏れることはありませんが、気体となって蒸発した分は通してしまいます。年間2〜4%の量が蒸散によって失われるとされ、長く熟成するほどこの量は増えていきます。

これを昔の職人は「天使がこっそりと飲んでいるのだ」と解釈しました。天使にお酒を献上することによって、より美味しいお酒が出来上がるのだと考えたのです。これを「天使の取り分(天使の分け前)」と呼んだのです。

前述した通り、熟成期間が長いほど取り分は多くなり、お酒の量が減ってしまうことが、長期間熟成のお酒が高価になってしまうことの一因でもあります。