日本酒の銘柄に「正宗」の名前が多い理由
日本酒の銘柄は非常に多くの種類があることは言うまでもありません。酒屋や居酒屋などで並べられている日本酒の銘柄を見てみると「正宗」の字が使われている銘柄が多いことに気が付きます。それもそのはずで、日本酒で「正宗」という字が使われている銘柄はゆうに100種類を超えます。
正宗の意味
古くは日本酒の銘柄には歌舞伎役者の名前が付けられることが多かったのですが、1840年をさかいに「正宗」を使用した銘柄が圧倒的に増えることになります。1840年に「正宗」を最初に使用したのは、神戸にある酒造会社「桜正宗」の6代目当主である山邑太左衛門(やまむらたざえもん)です。
当時、歌舞伎役者の名前が銘柄に付けられることに疑問を抱いていた太左衛門は、京都の元政庵瑞光寺の住職を訪ねると、「臨済正宗(りんざいせいしゅう)」と書かれた経典を見て「正宗」という銘柄を閃きました。「正宗(せいしゅう)」という発音も、「清酒(せいしゅ)」に近いというダジャレのようなことも同時に良いと感じたそうです。
時が経つにつれ、「せいしゅう」の読みは「まさむね」に変わっていきました。これは名刀・正宗の名前が世に広く通じていたことから、「名刀・正宗の様に切れ味にある酒」としての意味が強くなったために、日本酒・正宗の読み方までもが変ってしまったとされます。
そして日本酒の正宗(せいしゅう)の評判が日本全国に広まったことで、この酒の人気にあやかりたいという希望を込めて、「○○正宗」という銘柄が増えていったのです。