味覚には甘み、塩味、酸味、苦味、うま味があり、これを「五原味」といいます。辛味が入っていないのは、辛味は味ではなく熱さや痛みの部類に分類されるからです。さて、この五原味は、の部位によって味の感じ方が違うといった説がありますが、これは本当なのでしょうか。

舌の部位で感じる味が違うのは誤り

舌の先端で甘みを、根元で苦味を、左右中程で塩味と酸味を感じるという味覚帯を表した図があります。これは1942年にアメリカの心理学者であるエドウィン・ボーリングとが提唱した考えなので、これが世界中に広がっていったのです。

しかし長らく続いていたこの説に異議が唱えられました。舌には味蕾(みらい)と呼ばれる味覚を感じるセンサーの役割を果たしている器官が約1万個も存在していることが明らかになったからです。味蕾は五原味を全て感じ取る上、舌全体に備わっていることから、舌の部位によって味の感じ方が違うということはないという結論に至ったのです。