なぜナイアガラの滝は世界遺産になれないのか
カナダとアメリカにまたがって位置するナイアガラの滝は、アフリカのヴィクトリアの滝、南アメリカのイグアスの滝と並び、大きな滝を意味する世界三大瀑布の一つとして数えられます。これらの滝は世界遺産に指定されていますが、実はナイアガラの滝だけは世界遺産ではないのです。
なぜナイアガラの滝は世界遺産になれない?
1万年前に訪れた氷河期によって、現在の川の形、滝が形成されたとされます。しかし滝となる地点は現在よりも11kmも下流の地点でした。あまりにも膨大な水量によって地形が削られ、侵食され続けていました。
この侵食を防ぐために1950〜1960年代にかけて、水量を制御する工事が行われました。それまでは年間1mずつ浸食していた地形が、年間3cmに抑えられるようになったのです。しかしこのわずかな侵食でも、2万5千年後には消失してしまう計算になります。
また、ナイアガラの滝はその豊富な水量を利用して、電力の発電に関わっています。世界遺産になる上で、自然は自然のままでなければなりません。発電に関係している上、水量を人口的に制御され、人の手によって生きているともいえるナイアガラの滝は、とても世界遺産には指定されづらいのです。