改めて文字をまじまじと見てみると、素直に「おおさか」と読むのが難しく感じます。それもそのはず、元々「大阪」の「阪」の字は「」が使われていました。

大阪の地名変遷

「大坂」と呼ばれていた最も古い記録は、1496年に書かれた文書の中の「摂州東成郡生玉乃庄内大坂」という記載です。これ以前は現在のような「おおさか」という読みではなく、「おさか」と呼ばれていました。そして漢字では「小坂」と書かれていたのです。「小」の字が「大」に変化したのは、縁起担ぎかと推測されます。それではなぜ「坂」の字が「阪」に変化したのでしょうか。実はこれもまた縁起担ぎなのです。

「坂」の字を分解すると「土に反る(かえる)」と読めてしまい、縁起が悪いとされ、江戸時代の頃には「阪」という字をあてた表記が見られるようになりました。その後、明治時代には「阪」という字が定着し、現在に至るのです。

天下の台所と称され、物流や商売の中心地であった大阪ならではの縁起担ぎだったというわけです。