今では大手チェーン店が軒を連ねる寿司屋では、様々な改良が加えられているため、湯呑みのサイズも手に持ちやすいサイズとなっています。しかし老舗の寿司屋をはじめ、寿司屋の湯呑みというと大きくて厚さのある重厚なものをイメージします。

寿司屋の湯呑みの使い方

寿司屋が誕生したのは江戸時代の後期とされます。当時、江戸(現:東京)で流行った江戸前寿司は、東京湾で獲れた新鮮な魚介を手早く食べられることから、粋で短気な江戸っ子から広く支持されていました。

この時代の寿司屋は、今のような店舗型ではなく、移動可能な屋台式でした。店主は一人で切り盛りするのが普通で、寿司という食べ物の人気も相まって、とても多忙な状態でした。そこで、手を拭くためのおしぼりの洗濯の手間を省くため、おしぼり自体の提供を辞めたのです。店主は、客自身で手を洗ってもらえるようにと、大きな湯呑みを用意したのです。

客は湯呑みに手を突っ込んで手を洗うと、その店ののれんで手を拭いて帰ったといいます。そのことから、人気店を探すためにはのれんの汚れ具合を見ると良いともされていました。