最も有名なひな祭りの歌といえば、「あかりをつけましょ ぼんぼりにーー」から始まる、サトウハチロー作詞による『うれしいひなまつり』でしょう。日本の歌百選にも選ばれているこの歌で、ひな人形の登場人物を学んだ人も多いはずです。しかしこの歌にはいくつか間違いがあるのです。

うれしいひなまつり

まずは歌詞を確認してみましょう。

あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り

お内裏様と おひな様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顔

金のびょうぶに うつる灯を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
あかいお顔の 右大臣

着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り

この歌詞の中に間違いは見つかりましたでしょうか?

まずは「お内裏様とおひな様」という歌詞です。その後に続く「二人ならんですまし顔」という歌詞から、これは最上段にいる二人のひな人形のことを指していることが分かりますが、実は最上段の男雛と女雛、二人合わせてお内裏様というのです。そしておひな様とはひな人形全体のことを指す呼び方です。

次に「あかいお顔の右大臣」ですが、顔が赤いのは左大臣の方です。

このようにこの歌には間違いが存在し、作詞をしたサトウハチローもこのことを認識しており、誤りを気にしてこの曲を嫌っていたそうです。