直江兼続は戦国時代から江戸時代にかけて活躍した、越後(現:新潟県)を代表する武将です。特注の「愛」という字をかたどった兜が印象的です。そして閻魔大王といえば、死んだ人間を裁く地獄の裁判官であり、いわば架空の存在です。直江兼続は、この閻魔大王宛に手紙を出したことがあるのです。

閻魔大王への手紙

1597年、直江兼続が仕えていた上杉家の武将が、下人の不始末を理由に斬り捨てにしました。しかし遺族の3人はこれに猛抗議。兼続はこの件に対して、遺族へ対するお詫びとともに金銭を支払おうとしましたが、金ではなく息子を返せ、と遺族側はこれを拒否します。この事態に困り果てた兼続は、閻魔大王へ下人を返してもらうように手紙を書いたのです。

その内容は、「不慮の死を遂げた男の遺族が、息子を返して欲しいと望んでいる。そのため、出迎えが必要であろうから3人を迎えに遣わせます。」といった旨の内容でした。

ここで疑問に思うのが「3人を迎えに遣わせます」という文章。この文章が意味することは、つまり3人を一旦閻魔大王の元へと送り出すということです。兼続は遺族の3人の首を斬ると、閻魔大王への手紙を添えて、河原に首を並べたというのです。