平たくいえば「冠婚葬祭」とは、生まれてから死ぬまでのイベント事を指します。結婚式、葬式、そして様々な祭り事のことですが、先頭に立っている「冠」とは何を指しているのでしょうか。

冠婚葬祭の冠

奈良時代以降、12〜16歳の男子は「元服」という通過儀礼を受けることになっていました。元服は氏神様の前で大人の服装になり、子どもの髪型をやめて大人の髪型へと結い直す儀式です。そして後見人から冠をつけてもらうのです。このことから、元服は「冠」と呼ばれ、冠婚葬祭に当てられることになりました。既にお分かりの通り、元服は現代でいう成人式と思って間違いありません。

江戸時代以降になると、女性も元服をする風習が生まれます。結婚と同時、または18〜20歳になると、着物を着て厚化粧をし、お歯黒を付けるなどの儀式を行います。これは現代でも祇園の舞妓などでその名残があるといいます。