ストレスの多い現代社会、昔に比べると胃潰瘍や胃炎に悩まされる人も多くなったのではないでしょうか。胃酸は食べ物を消化するために出る分泌液ですが、鉄をも溶かしてしまう非常に強力な酸性です。しかし健康な状態の時、自分の胃自体が胃酸によって溶けることはありません。なぜなのでしょうか。

ペプシンと粘膜のベール

胃酸にはタンパク質分解酵素の「ペプシン」が含まれ、タンパク質を分解します。そして胃もまた、主にタンパク質でできています。食べ物が胃に到達すると、胃はペプシンを分泌し、食べ物を消化しようとします。その際に、胃自体のタンパク質を溶かさないよう、多量の粘液が分泌されるのです。この粘液は厚さ1mmにも満たない非常に薄いものですが、胃酸を中和したりペプシンを不活性化したりして、胃液から胃壁を守ってくれるのです。

体調不良などによりこの粘液の力が弱まってしまうと、胃の粘膜層が破壊され、胃もたれや胸焼け、吐き気などの諸症状があらわれてしまうのです。