福沢諭吉や野口英世など、紙幣に描かれた精密な肖像画の目的は言うまでもなく紙幣の偽造防止のためです。肖像画をよく見てみると、細かい無数の線で描かれていることが分かります。ではこの緻密な絵は一体誰が描いているのでしょうか。

紙幣に用いられる技術

紙幣に使われるくらいだから、さぞ有名で高名な人物が描いているかといえば、そうではありません。紙幣に描かれた人物、さらに他のデザインを務めているのは、財務省の印刷局に務める国家公務員なのです。しかしただの公務員ではなく、それ専門に雇われた人達で、その名も「工芸官」と呼ばれます。工芸官は30人程度の人数で構成されています。

まず写真をもとに下絵となる水彩画を描き、それをもとに特殊な彫刻刀で銅板に細かく細かく線を削り出していきます。1mmの幅に10本以上の線を彫刻することもある、大変精密な作業なのです。

こうして作られる日本の紙幣の偽造防止レベルは、世界でも屈指の技術力を誇っています。

お札に見られる工芸官の技術 - お札と切手の博物館 –