全く眠ることができずに死に至る病気がある
最適な睡眠時間は8時間ともいわれています。毎日快調に眠ることができる人もいれば、中には不眠症を患い、上手く眠りにつけない、眠りが浅いといった症状に悩まされている人も多いでしょう。しかし一日中全く眠ることができず、結果的に死に至ってしまう病気が存在するのです。
眠れなくなる奇病
その病気は「致死性家族性不眠症(通称FFI)」と呼ばれています。非常に珍しい病気で、世界各国で40家族しか知られていません。「家族」と書いたのは、この病気には遺伝子による遺伝性があるからです。多くは50歳代で発症し、重度の進行性不眠症に陥り、最終的には全く眠れなくなり、昏睡状態に陥ります。
プリオンと呼ばれる異常なたんぱく粒子が、脳にある視床に蓄積して発症すると考えられています。人間の睡眠は、脳幹から出た「寝る」といった命令が視床を通り、大脳新皮質に行き渡ったところで、外部からの刺激を遮断して睡眠します。しかしこの異常プリオンのせいで外部から大脳皮質への刺激が遮断されず、眠れなくなるのではないかと考えられています。
通常、発症してからの余命は二年とされます。その上、異常プリオンを生成する遺伝子異常を治す治療法は見つかっていない、不治の病なのです。