パスタやリゾットやパエリアなど、イカの墨を使った料理は沢山ありますが、なぜタコの墨を使った料理は存在しないのでしょうか。

今回の雑学ではイカとタコの墨の違いについてご紹介します。

イカとタコの墨は別物

外敵から襲われたり身の危険を感じた際に、イカもタコも墨を吐いて身を隠します。タコの墨は煙幕のようにブワッと広がるのに対し、イカの墨はつりがね紡錘形(ぼうすいけい)にまとまって、さも自分の分身を作り出すかのように墨を吐きます。敵の目をそちらに向けて、自分は身を隠そうというわけです。

さて、イカスミ料理は数あれど、なぜタコ墨料理は存在しないのか。

一説の噂によると、タコの墨には旨味成分の元となるアミノ酸含まれておらず、味がしない。などという言われもありますが、これは嘘です。実際にはアスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸が豊富に含まれています。

しかしタコの構造上、墨袋が非常に取り出しづらく、苦労して取れたとしても一匹から取れる墨の量は非常に僅かです。さらにイカスミと比べると粘液性がないためにサラッとしすぎていて、調理の際にも扱いづらい。これらの不便さが相まって、タコスミよりもイカスミが使われるのです。