和室の作法としてよく言われるのが「(ふち)を踏んではいけない」というものです。和室には畳の縁以外にも、ふすまや障子などのレール部分など、いくつか「境目」が存在します。これらを踏んではいけないといわれるのには、いくつかの理由がありました。

畳の縁を踏んではいけない理由

まず、畳の縁やふすまや障子の敷居は、その家の象徴とされます。畳の縁には家紋を入れることもあり、それらを踏むことは家や家人、ご先祖を踏みつけることと同じとなると考えられています。

昔は畳は高級品とされていました。特に縁には絹などの高級素材が使われており、その上痛みやすかったためになるべく縁を踏むことを避けたといわれています。

そして面白い理由として、武士が身を守るためという説もあります。暗殺を企む忍者が床下に忍び込み、畳の隙間から漏れる光をたよりに相手の位置を確認したといわれます。武士はこういった暗殺術から身を守るために、畳の縁を踏まないように歩いていたというのです。

普段から畳の縁や敷居を踏まずに歩くことは難しいかもしれませんが、お客様の家へあがった時くらいは意識してみると良いのかもしれません。